あんな子供が居たら大変です。






      大家族






      筆を置き、大きく伸びをする。

      少し肩が凝ったみたいだ。

      最近はずっと伏せっぱなしで、しばらくぶりに仕事へ出てきた。

      体が鈍っているらしく疲れが溜まりやすい。

      普段は自慢の長い髪も、今では重くのし掛かってくる。

      休憩でもしようかと考えていたとき、聞き慣れた声が聞こえた。






      「久しぶりの仕事で疲れたでしょ。一段落ついたんだったらお茶にしない?」






      嬉しい申し出に二つ返事で了承する。

      の手には2人分のお茶と鯛焼き。

      せっかくの天気なので、縁側に移動し太陽を浴びる事にした。


      寄り沿うように隣に座り、微笑みながらお茶を手にする。






      「最近陽射しが強くなってきたなあ」

      「そうだね。死覇装が暑くて仕方ないよ」

      「まあ、俺たちは年がら年中この格好だからな」

      「せめて夏服とか欲しいなー」






      今度、女性死神委員会に提案してみようかな。

      本気で悩むその姿が可愛らしい。

      いっそ抱き寄せてしまおうかと思うが、遙か遠くから聞こえた怒声に遮られる。






      「清音!!仙太郎!!テメーらうるせぇんだよっ!!!」



      「「・・・・・・・」」

      「・・・・・相変わらず騒がしいな」

      「ホント。海燕も大変でしょうね」






      顔を見合わせると同じ事を考えていた。

      哀れ、海燕。

      あいつには迷惑を掛けっぱなしだ。

      今度休暇でもやって、都と2人でどこかへ行かせようか。

      たまにはのんびりするのも悪くない。

      思考を走らせると、の様子が変わったのに気付いた。

      クスクスと笑っている。






      「、何笑ってるんだ?」

      「・・・ちょっと、・・・想像したらっ、おかしくて・・・・!」

      「?」






      一体何を想像したというのか。

      それも唐突に。






      「今の海燕の怒声を聞いてね、考えたの。十三番隊って大きな家族みたいだなって」

      「ほお」






      面白い考えだ。

      確かにそうと言えないこともない。

      京楽にも言われた事があったような気がする。

      納得するが、次の瞬間、が爆弾を投下した。






      「そしたら十四郎がお母さんで海燕がお父さん」

      「何っ!?」

      「で、清音と仙太郎がいたずら好きな子供たち!」






      ちょっと待ってくれ。

      「お母さん」その単語にショックを受ける。

      何だか雷にでも打たれた気分だ。






      「・・・・・惚れた女にお母さん呼ばわりされてみろ。いじけるぞ」






      至極真面目に答える。

      はそうかなー、とか言いながら不満そうだ。

      俺も不満なことがあるんだ、お互い様だ。

      それに、と俺は続ける。






      「それじゃお前がいないだろ」

      「っ!?」






      うっかり自分の存在を忘れるところは、さすがといったところ。

      俺にとっては中心人物なんだが。

      そして俺は海燕と夫婦になりたいとは思わない。






      「やっぱり俺が父でが母だろ」

      「えっ」

      「それで海燕が長男で清音と仙太郎がその下だ」

      「いや、ちょっと・・・」

      「決まりだな決まり!」






      俺が自己完結すると、いつの間にか真っ赤になっているが居た。

      しばらく放心状態で口をぱくぱくと開閉させる。

      その様子が面白くて、必死で笑いをかみ殺す。

      それから、とりあえず一番言いたいことを。





      「というわけで、これからもよろしくな」

      「・・・・・・・・・・・・・・はい」






      たっぷりの間の後、は不承不承という感じで頷いてくれた。

      俺が本気だという事をわかってないな。

      今度こそ俺はを腕の中に閉じこめた。

      最初は必死の抵抗も徐々に大人しくなる。

      どこからか視線を感じるが気にしない。

      恥ずかしがらなくても良いと思う。

      俺たちは将来、夫婦にそして家族になるのだから。

      それはきっと、そう遠くない未来の物語。


























      多分。


















      あとがき――――――――――

      十三番隊は普通に家族で通用すると信じてます。

      アットホームな雰囲気万歳。

      リク有り難うございました!!

      駄文献上(逃




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      変わりゆく空。 涼風司恩 様より、1周年御礼企画ということで頂いて参りました!
      烏滸がましくも私何ぞがリクさせて頂いてしまったのですが…。
      リク内容と司恩様の書かれる小説の雰囲気が一つの作品として読めたことがすごく嬉しいです。
      在り来たりなリクでしたが、わざわざ書いて頂いてどうもありがとうございました!

      坂倉お時